帽子の減少
帽子は何世紀にもわたって人間の服装に欠かせないものであり風雨から身を守るなどの機能的なニーズだけでなく、社会的地位や職業を示すものでもありました。
しかし時代とともに私たちのワードローブに占める帽子の存在感は薄れてきています。
ではフォーマルな場での帽子の着用が減少した理由は何なのでしょうか?
文化の変遷とファッショントレンドの変化
20世紀半ばになると文化的な変化やファッショントレンドの変化がフォーマルな場での帽子の減少に影響を与えるようになりました。
第二次世界大戦後、フォーマルなドレスコードに縛られることなく個人主義や快適さを重視する傾向が強まったのです。
社会がよりカジュアルになるにつれて帽子は旧態依然としたものとみなされ、男性のワードローブにおける中心的な地位を徐々に失いました。
さらに、ビートニクやヒッピーなど、伝統的な服装を否定する若者の文化が台頭しこの傾向はさらに加速していきました。
自動車の影響
自動車の台頭も帽子文化の減少に一役買っています。かつて、人々が歩いたり馬に乗ったりするとき、帽子は日差しや雨から身を守るために不可欠なものでした。
しかし自動車の登場により、帽子の必要性は低くなった。
そして天井の低いビルや狭いオフィスなど、インフラの変化によっても室内での帽子の着用が現実的でなくなった。(玄関ロビーは広くてもエレベーターを考えてみてください。)
著名人の影響
1961年、若きカリスマとして知られたジョン・F・ケネディが大統領就任式で帽子を被らなかったことは強いメッセージとなりました。
これは俗説で確証はないのですが(ケネディはその日帽子をかぶっていましたが、大統領在任中はあまりかぶっていませんでした)、彼の帽子をかぶらないスタイルが、モダンで先進的な男性のイメージに大きく貢献し、帽子をかぶることの減少を加速させたと言われています。
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水着の面積の減少
男性用水着の進化:ユニタードスタイル
次に、男性用水着に目を向けてみましょう。
現在ではパンツで下半身を隠すのが世界中の男の水着の標準ですが、昔の映像などを見ると女性用水着とあまり変わらないようなデザインの水着を男性も着ていることに驚く人も多いと思います。
初期の男性用水着はウール製で、胸から太ももの真ん中まで覆うユニタードのようなデザインだったのです。
そのようなデザインは、主に当時のいわゆる、謙遜の基準によるものでした。ではなぜ男性用水着の上半身が消えてしまったのでしょう?
社会規範の変化とボディイメージ
男性用水着の変遷は、社会規範の変化と男性像の変遷が大きく影響しています。
20世紀に入ると社会は厳しい慎み深さの基準を緩和するようになりました。
この変化は、フィットネスへの関心が高まり筋肉質な体格が理想とされる男性のボディイメージが変化したことと重なります。
裸の水着スタイルは、男性の体力を誇示することができ、徐々に標準的なものとして受け入れられていったのです。
余談ですが昔のボディビルダーと今のボディビルダー、昔のアスリートと今のアスリートを比べて見るとちょっとした違いに気づくと思います。
腹筋や腕の筋肉は昔も今も同様にどちらもついていても、胸の筋肉は現代のがはるかに大きく膨らませているのです。
筋肉はファッションとは言えないかもしれませんが、大胸筋を鍛えて見せるというのは現代の文化といえるでしょう。
メディアとアスリートの影響力
水着の変化にはメディアや著名なアスリートも大きな役割を果たしました。
筋肉隆々のヒーローが登場するハリウッドや、スピードと敏捷性が求められる競泳では、最小限の衣服しか着用しないことが、素肌を見せることの普及に貢献しました。
そうしてアスレチックでシャツを着ていない男性のイメージが広まるにつれ、以前の控えめな水着のスタイルは廃れ、今日の男性用水着の変遷が完成したのです。
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