交響曲第40番 古典派音楽全体のベストヒット
まずはモーツァルトの交響曲第40番ト短調K.550から。40番はモーツァルトが短調で書いた2曲しかない交響曲のうちのひとつである。(ちなみにもうひとつは交響曲第25番)
1788年に作曲されたこの交響曲はモーツァルトの作品の中でも人気がある作品の一つだ。
この交響曲はその感情の強さ、シリアスな曲調、短調で書かれていることから、モーツァルトの個人的な苦悩と関連づける研究者もいる。
この時期、彼の人生は経済的な困難と仕事上の失望に満ちていたからだ。しかし、モーツァルトが新しい芸術的、感情的な領域を開拓したに過ぎないという可能性もある。
40番はモーツァルトだけでなく古典派の全体のレパートリーの中でも最も演奏回数が多く、誰もが知っている古典派を象徴する交響曲といえるだろう。
交響曲第41番ジュピター モーツァルト最後の交響曲

次に交響曲第41番ハ長調K.551は、「ジュピター交響曲」とも呼ばれ、モーツァルトが作曲した最後の交響曲である。
1788年に作曲されたこの曲はその壮大さと複雑な対位法で知られ、特にフィナーレは「交響曲の中の交響曲」とも呼ばれる。
最終楽章のソナタ形式、対位法、フーガの野心的な組み合わせは、モーツァルトが当時の最も重要な音楽形式を1つの壮大な交響曲の結末に統合しようとしたものと見る向きもあるようだ。
ちなみにだがジュピターという名前はモーツァルトがつけたものではない。興行師で作曲家でもあったヨハン・ペーター・サロモンがつけたものである。
この名前は曲の威厳と壮大さに由来していると思われる。最終楽章はしばしばその複雑さで注目される訳だが、この曲には5つの部分からなる「二重フーガ」があり、2つの主要な主題がさまざまな組み合わせや順列で探求される。
交響曲第40番と第41番はモーツァルトのそれぞれ異なる側面から彼の作曲能力を示しているといえるかもしれない。
前者は感情の深さと激しさ、後者は構造の複雑さと壮大さで一般に評価されている。