【ウィーンフィルから】世界10大交響楽団【ボストンまで】

世界の有名交響楽団の一覧の図、コンサートホールに多くの人 音楽

今回は伝統や知名度から独自に選んだ世界の有名10大フィルハーモニーについて。

前半はヨーロッパ、後半はアメリカ。出来る限り世界の誰もが納得いくように公平に10という数に絞ってみたつもりです。

世界の名門交響楽団まとめ10選

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ウィーンフィルは1842年に設立されその独特の音色と深い伝統で知られています。このオーケストラはウィーン国立歌劇場と密接に関連していてメンバーはオペラオーケストラから選ばれます。

実際ウィーンフィルハーモニーのメンバーになるためには、まず国立歌劇場のオーケストラで少なくとも3年間演奏することが条件とされており、この厳格な選考過程がオーケストラの卓越した質を確保しています。

ウィーンフィルは1941年から続くニューイヤーコンサートでも有名でオーストリアといえばおなじみのシュトラウス家の音楽を特に得意とします。このコンサートは毎年世界90カ国以上で放送され約5000万人の視聴者が鑑賞する一大イベントとなっています。

その音色は特定の楽器と演奏スタイル(ビブラートやポルタメントの強調)によって特徴づけられ、温かく豊かなトーンを持っています。特に弦楽器セクションのウィーン式弓の使用や、ウィーン・ホルン、ウィーン・オーボエなど独自の楽器の採用が他のオーケストラとは一線を画す音色を生み出しています。

グスタフ・マーラーやヘルベルト・フォン・カラヤンなどの著名な指揮者がその芸術的方向性を形作ってきました。また、クレメンス・クラウス、カール・ベーム、カルロス・クライバー、レナード・バーンスタインなど20世紀を代表する名指揮者たちも重要な役割を果たしてきました。彼らの影響によりオーケストラはドイツ・オーストリア音楽の解釈において特に優れた評価を得ています。

この管弦楽団は基本的に自治組織であり、すべての決定は団員によって民主的になされます。この自治の伝統は1842年の設立当初から続いており、音楽監督を置かず各公演ごとに客演指揮者を招くという独自のシステムを採用しています。また長い間女性団員を受け入れていなかったことでも知られていましたが、1997年にようやく最初の女性団員(ハープ奏者)が加入し徐々に門戸を開きつつあります。

音響の良さで定評のある楽友協会ホール(ムジークフェラインザール)をはじめさまざまな会場で演奏しています。この1870年に完成した「黄金のホール」はその優れた音響特性と豪華な内装で世界的に有名であり、ウィーン・フィルの音色を最大限に引き出す理想的な空間となっています。さらにザルツブルク音楽祭やルツェルン音楽祭などの国際的な音楽祭への定期的な参加も、このオーケストラの重要な活動の一つです。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1882年に創設されたベルリンフィルハーモニー管弦楽団は、ドイツのベルリンを本拠地とする世界有数のオーケストラです。元々は「ビルゼのオーケストラ」として知られていた団体から54人の音楽家が独立して結成されました。この音楽家による音楽家のためのオーケストラという理念は現在も組織の根幹をなしています。

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ヘルベルト・フォン・カラヤン、そして現在はキリル・ペトレンコなど多くの偉大な指揮者が指揮をとってきました。特にカラヤンの34年間にわたる在任期間(1955-1989)はオーケストラの黄金時代として記憶されており、世界的な名声を確立した時期です。クラウディオ・アバドやサイモン・ラトルもオーケストラの発展に重要な役割を果たし、それぞれ異なる音楽的アプローチでレパートリーを拡大してきました。

本拠地はテントのようなデザインで知られる有名コンサートホール、ベルリン・フィルハーモニーで演奏しています。1963年に完成したこの革新的な建物は建築家ハンス・シャロウンによって設計され、「音楽の中心にある聴衆」という概念に基づく円形の舞台配置が特徴です。こうしたユニークな設計により2,440人の聴衆全員が素晴らしい音響体験を得ることができます。

ベルリンフィルにはデジタル・コンサートホール(Digital Concert Hall)もあり世界中の聴衆がその演奏をインターネットを通じてライブおよびアーカイブ映像で鑑賞できます。このイニシアチブは2008年に始まりクラシック音楽のデジタル配信の先駆けとなりました。現在では50カ国以上でアクセス可能であり、教育プログラムやドキュメンタリーなども提供しています。

このオーケストラは情熱的な演奏スタイルと技術的な精度で知られ、良い意味で「スリリングな」音と評されることもあります。特に金管楽器セクションの輝かしい音色と弦楽器の深みのある表現力が高く評価されています。ブラームス、ブルックナー、マーラーなどのドイツ・オーストリア系レパートリーでの演奏は特に優れており、その解釈は多くの音楽愛好家にとって基準となっています。

サイモン・ラトルの指揮の下で現代音楽を積極的に取り入れクラシックの定番を超えたレパートリーを拡大しました。教育プログラム「Zukunft@BPhil」の設立や様々な社会的背景を持つ若者へのアウトリーチ活動など、コミュニティ参加の取り組みも強化されています。2002年にはベルリン・フィルは法的に州立機関から独立した財団となり、より大きな芸術的自由と財政的自律性を獲得しました。

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は1888年にアムステルダムで設立され洗練された音色と解釈の深さで世界的に認識されています。その名称はオランダ語で「コンサートホール」を意味する「コンセルトヘボウ」に由来しており、1988年の創立100周年を記念して「ロイヤル(王立)」の称号を与えられました。

コンセルトヘボウの本拠地はその優れた音響で有名です。1888年に完成したこのホールは「シューボックス」型の設計と「黄金の音響」と称される音響特性で知られています。天井高19メートル、木製の床と壁が反響を絶妙にコントロールし特に弦楽器の音色を豊かに響かせることに貢献しています。この建築的特徴がオーケストラの独特な音色形成に大きく影響しているといわれています。

ロイヤル・コンセルトヘボウはマーラーやブルックナーの主要作品を演奏する長い伝統を持ち、Horizonのような新作を取り入れるイニシアチブを通じてクラシックレパートリーと現代作品の両方にコミットしています。マーラー自身が自作を指揮した歴史もありその伝統は今日も大切に継承されています。また「RCOミーツ・ヨーロッパ」などのプロジェクトを通じて若い音楽家の育成と文化交流にも力を入れています。

ベルナルト・ハイティンクやマリス・ヤンソンスなどの指揮者がその芸術的アイデンティティに大きな影響を与えました。特にハイティンクの在任期間(1961-1988)はオーケストラの「第二の黄金時代」と呼ばれています。またヴィレム・メンゲルベルク(1895-1945)の50年にわたる在任はオーケストラの基盤を築いた重要な時期でした。現在の首席指揮者はクラウス・メケレとなっており、伝統の継承と革新のバランスを取りながらオーケストラを率いています。弦楽器の暖かい音色、木管楽器の個性的な表現、そして全体としての透明感のあるアンサンブルはこのオーケストラの特徴として世界中の音楽愛好家に愛されています。

ロンドン交響楽団

1904年に設立されたロンドン交響楽団(LSO)はイギリスの主要オーケストラのひとつです。実はその設立は当時のクイーンズ・ホール・オーケストラの団員が指揮者ヘンリー・ウッドとの契約条件に不満を持ち、独立して新たな自主運営のオーケストラを結成したという劇的な経緯があります。この「革命」的な設立によって英国で初めて音楽家による自主運営オーケストラが誕生しました。

主にロンドンのバービカン・センターで演奏しクラシックから映画音楽まで幅広いレパートリーを持ちます。1982年から本拠地としているバービカン・ホールは2,000席を超える規模を持ちオーケストラの表現力を最大限に引き出す場となっています。また2003年には教育・コミュニティ活動の拠点として「LSO St Luke’s」をオープンし、音楽教育と地域社会への貢献に力を入れています。

アンドレ・プレヴィン、サー・コリン・デイヴィス、そして現在はサー・サイモン・ラトルなど著名な指揮者が指揮を務めています。特にプレヴィンの時代(1968-1979)はテレビ番組「アンドレ・プレヴィンの音楽の夕べ」を通じてクラシック音楽の普及に大きく貢献しオーケストラの人気を高めました。デイヴィスの在任期間(1995-2006)はイギリス音楽、特にエルガーやヴォーン・ウィリアムズの作品の再評価が進みました。2017年に就任したラトルは現代音楽のレパートリー拡大と教育プログラムの強化に取り組んでいます。

また『スター・ウォーズ』のオリジナル・サウンドトラックを含む幅広いレコーディング活動でも知られています。ジョン・ウィリアムズとの長い協力関係は特筆すべきもので、「スター・ウォーズ」シリーズのほか「ハリー・ポッター」「スーパーマン」などの映画音楽でも優れた演奏を披露しています。また自主レーベル「LSO Live」を2000年に設立し、生演奏の臨場感を捉えた高品質なレコーディングを世界中のファンに提供しています。

「LSO Discovery」プログラムを通じて音楽教育と地域社会へのアウトリーチ活動に積極的に取り組んでいるのも特徴です。年間約60,000人の参加者を対象にコンサート、ワークショップ、コミュニティプロジェクトなどを実施し、あらゆる年齢と背景を持つ人々にクラシック音楽の魅力を伝えています。また「LSO On Track」プログラムではロンドン東部の若い音楽家たちに演奏の機会を提供し、次世代の音楽家育成にも力を入れています。

ニューヨーク・フィルハーモニック

1842年に設立されたニューヨーク・フィルハーモニックはアメリカで最も古い交響楽団であり、実は世界でも5番目に長い歴史を持つオーケストラです。創設当初はアメリカン・アカデミー・オブ・ミュージックで演奏を行いその後カーネギー・ホールを経て現在の拠点に移りました。

ニューヨークの文化生活において中心的な役割を果たしておりリンカーン・センターのデヴィッド・ゲフィン・ホール(旧エイヴリー・フィッシャー・ホール)で演奏しています。2022年に改装されたばかりのこのホールは最新の音響技術を導入しより豊かな音楽体験を提供できるようになりました。また毎年夏には無料の野外コンサート「Concerts in the Parks」シリーズを開催しニューヨーク市内の各公園で数万人の観客を魅了しています。

アメリカの作曲家の作品を初演しレナード・バーンスタイン、ズービン・メータ、そして現在はヤープ・ヴァン・ズヴェーデンといった著名な指揮者が率いています。

特にバーンスタインの時代(1958-1969)はテレビでのヤング・ピープルズ・コンサートを通じて音楽教育に革命をもたらしオーケストラのプロフィールを大きく高めました。またグスタフマーラーやアントン・ザイドルなど著名な作曲家が直接指揮をとったこともあり、ヨーロッパの音楽的伝統とアメリカの革新性を融合させた独自の音楽性を発展させてきました。

ライブ・コンサート、レコーディング、海外ツアーを通じて幅広い聴衆に親しまれていて「フィル・ザ・ホール」や「ナイトキャップ」など若い世代を対象したシリーズや「Project 19」など女性作曲家の作品委嘱プロジェクトなどクラシック音楽の未来を見据えた取り組みも積極的に行っています。

また、デジタルアーカイブ「レオン・レヴィ・デジタル・アーカイブ」では14,000以上の歴史的演奏記録やドキュメントを一般公開しオーケストラの豊かな歴史を共有しています。

ボストン交響楽団

1881年に設立されたボストン交響楽団は上記のNYも含むアメリカの「ビッグ・ファイブ」オーケストラのもうひとつのメンバーです。(ちなみに他は下記のシカゴやクリーブランド、フィラデルフィアフィルなど)

ヘンリー・リー・ヒギンソンという裕福な実業家の支援によって設立され、当初からヨーロッパの最高水準に匹敵するオーケストラを目指していました。

ボストンにあるその名もシンフォニーホールでボストン交響楽団は演奏しています。1900年に完成したこのホールはアメリカで最も音響が優れたコンサートホールのひとつとして知られ、完璧な「シューボックス」型設計の典型として建築史上も重要な位置を占めています。

毎年夏にはマサチューセッツ州バークシャーヒルズのタングルウッドで演奏することでも知られており、この自然豊かな野外音楽祭は1937年以来夏の風物詩として多くの音楽ファンを魅了しています。

長年にわたりセルジュ・クーセヴィツキー、チャールズムンク、そして現在はアンドリス・ネルソンスといった著名な指揮者が率いてきました。特にクーセヴィツキーの時代(1924-1949)にはアメリカ人作曲家の作品を積極的に取り上げアーロン・コープランドやレナード・バーンスタインなど新世代のアメリカ音楽の発展に大きく貢献しました。また近年では小澤征爾の在任期間(1973-2002)もオーケストラの芸術的成熟に重要な役割を果たしました。

ボストン交響楽団は特に印象派音楽やフランス音楽の解釈に定評があり、ドビュッシーやラヴェルの作品での演奏は世界的に高い評価を受けています。またジョン・ウィリアムズとの長い協力関係もあり、映画音楽の分野でも重要な貢献をしています。ウィリアムズはボストン・ポップス・オーケストラ(BSO関連組織)の指揮者を1980年から1993年まで務めクラシックとポピュラー音楽の橋渡しをしました。

教育面ではタングルウッド音楽センターを通じて若手音楽家の育成に力を入れておりレナード・バーンスタイン、小澤征爾、アンドリス・ネルソンスなど多くの著名な音楽家がここで学びました。

また「BSO in Residence」プログラムを通じてマサチューセッツ州内の学校や地域社会との関わりも深めています。2007年に設立されたデジタルメディアイニシアチブ「Classical Action」ではコンサートの映像をインターネットで配信するなどデジタル時代に適応した活動も展開しています。

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シカゴ交響楽団

1891年に創設されたシカゴ交響楽団(CSO)はアメリカの「ビッグ5」のひとつです。ドイツ出身の指揮者テオドア・トーマスによって創設され当初からヨーロッパの最高水準のオーケストラに匹敵する演奏を目指していました。トーマスの「私はここにシカゴと西洋の間に立ちはだかるものはない」という言葉はこのオーケストラの野心的なビジョンを象徴しています。

シカゴのオーケストラ・ホールを本拠地とするCSOはフリッツ・ライナー、サー・ゲオルク・ショルティ、そして2023年までの近年はリッカルド・ムーティなど輝かしい指揮者たちによって率いられてきました。特にショルティの在任期間(1969-1991)はシカゴの奇跡と呼ばれオーケストラを世界最高峰の地位に押し上げました。その間に録音されたベートーヴェン、ブラームス、バルトークなどの作品は今日も参照すべき名演として高く評価されています。ムーティはイタリアオペラとの深い関わりを持ちヴェルディなどのイタリアレパートリーでの演奏に新たな視点をもたらしました。

数々のグラミー賞を受賞ししばしばアメリカ最高のオーケストラのひとつに挙げられます。特に62個のグラミー賞を獲得した実績はクラシック音楽団体としては前例のない記録です。その特徴的な音色は特に金管楽器セクションの輝かしく力強い演奏にあるとされ「シカゴ・ブラス・サウンド」として世界中のオーケストラの模範となっています。また弦楽器セクションの統一された響きと木管楽器の個性的な表現も高く評価されています。

CSO Resonesという自主レーベルでの録音活動に加え「Civic Orchestra of Chicago」という研修オーケストラを1919年から運営し次世代の音楽家育成にも力を入れています。また「Institute for Learning, Access, and Training」を通じてシカゴ市内の学校や地域社会に向けた教育プログラムも提供しています。毎年夏にはラヴィニア・フェスティバルでの野外コンサートシリーズも行われより広い観客層にクラシック音楽の魅力を伝えています。2020年には「CSO TV」というデジタルプラットフォームを立ち上げパンデミック時代に適応したコンテンツ配信にも積極的に取り組んでいます。

サンフランシスコ交響楽団

1911年に創設されたサンフランシスコ交響楽団は比較的若いオーケストラながら世界有数のオーケストラに成長しました。1906年のサンフランシスコ大地震からの文化的復興の象徴として設立され、西海岸における文化的アイデンティティの形成に重要な役割を果たしてきました。

サンフランシスコのルイーズ・M・デイヴィス・シンフォニーホールで演奏しています。1980年に完成したこのホールは2,700席を備えアコースティカルエンジニアのハロルド・シュプレケルセンによって設計された優れた音響特性が特徴です。また1973年に導入された「Deck the Hall」シリーズなど家族向けの特別コンサートも伝統となっています。

小澤征爾、ヘルベルト・ブロムシュテット、そして最近ではマイケル・ティルソン・トーマスといった著名な指揮者が率い特に長く影響力のある在任期間を送りました。特にティルソン・トーマスの25年にわたる在任期間(1995-2020)はオーケストラの芸術的成熟とレパートリーの拡大に大きく貢献しました。アメリカ音楽、特にアイヴズ、コープランド、バーンスタインなどの作品への取り組みは特筆すべきもので「American Mavericks」シリーズを通じてアメリカの実験的音楽にも光を当てました。現在はエサ=ペッカ・サロネンが音楽監督を務め革新的なプログラミングと技術の融合に重点を置いています。

サンフランシスコ交響楽団は1990年代から自主レーベル「SFS Media」を運営し特にマーラーの交響曲全集の録音はグラミー賞を含む数々の賞を受賞しました。

また教育プログラム「Adventures in Music」はサンフランシスコの全公立小学校の生徒にクラシック音楽の体験を提供する先駆的な取り組みとして高く評価されています。2006年には「Keeping Score」というマルチメディアプロジェクトを立ち上げテレビやラジオ番組、ウェブサイトを通じて音楽教育を広める活動も行いました。2014年から始まった「SoundBox」シリーズはより若い観客を対象としたマルチメディア体験の場を提供しクラシック音楽の新しい楽しみ方を提案しているようです。

ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団

1919年に設立されグスターボ・ドゥダメルの指導の下で革新的なプログラミングと地域社会への関与で際立っています。ドゥダメルは2009年に音楽監督に就任し当時28歳という若さで就任したことでも話題となりました。

彼のカリスマ的な指揮と独自のビジョンはオーケストラに新たな活力をもたらしより多様な観客層を引き付けることに成功しています。

このオーケストラはクラシックから現代のジャンルまで幅広い音楽を演奏する多様性で知られています。特に現代音楽への取り組みは顕著でありエサ=ペッカ・サロネン(1992-2009)の時代に確立された革新的なアプローチは現在も「Green Umbrella」シリーズなどを通じて継続されています。また地域の多様な文化を反映したプログラミングも特徴でラテン音楽や映画音楽などを取り入れた柔軟なアプローチが評価されています。

ウォルト・ディズニー・コンサートホールは最先端の音響を備えた象徴的な会場で演奏を強化します。2003年に完成したこの建物は建築家フランク・ゲーリーによるステンレス鋼の曲線的外観で知られロサンゼルスの文化的ランドマークとなっています。内部の音響設計は著名な音響学者である豊田泰久によるもので温かみのある木製の内装と独特の空間設計がオーケストラの音を最適に伝える環境を創出しています。この世界最高峰の音響を持つホールはLAフィルの芸術的成長に大きく貢献しています。

LAフィルは様々な音楽スタイルの人気アーティストや作曲家とのコラボレーションで認識されロサンゼルスの多様な文化的風景を反映しています。

ジョン・アダムス、フィリップ・グラス、ジョン・ウィリアムズなど著名な現代作曲家との協力関係は特筆すべきもので多数の新作委嘱と初演を行ってきました。またポップスやジャズ、ワールドミュージックのアーティストとの共演も積極的に行いジャンルの垣根を超えた音楽体験をまさに提供しているといえるでしょう。

社会的な取り組みとしては「Youth Orchestra Los Angeles (YOLA)」プログラムは恵まれない地域の子どもたちに無料の音楽教育を提供しています。このプログラムはベネズエラの「エル・システマ」にインスパイアされたもので、ドゥダメル自身がその卒業生であることから彼の情熱的なサポートを受けています。2020年には専用の施設「Judith and Thomas L. Beckmen YOLA Center」がオープンしより広範な教育活動が可能になりました。

クリーブランド管弦楽団

1918年に創設されたクリーブランド管弦楽団もアメリカのクラシック音楽シーンに燦然と輝く存在です。上記のLAとほぼ同時期で比較的若いオーケストラながらその精緻なサウンドと情熱的な演奏で「ビッグ・ファイヴ」の一角を占めます。

クリーブランドの中心に位置するセヴェランス・ホールがこの楽団のホームグラウンドです。1931年に開業し、2000年に約3600万ドルをかけた大改修で生まれ変わったこのホールは、約2,000席の優雅な空間と、きめ細やかな音響設計が特徴です。

夏には緑豊かなカヤホガバレー国立公園近くのブロッサム・ミュージック・センターで野外公演を行い、家族連れやカジュアルな観客にも門戸を開いています。さらに、2007年からはマイアミのAdrienne Arsht Centerで毎年レジデンシーを開催し、南国の聴衆にもその音楽を届けています。子ども向けの「キッズ・コンサート」や、1980年から続く「マーティン・ルーサー・キング・ジュニア記念コンサート」など、コミュニティに根ざした特別公演も伝統となっています。

クリーブランド管弦楽団の歴史は、偉大な指揮者たちによって彩られてきました。特にジョージ・セル(1946-1970)の時代には国際的な名声を獲得。ロリン・マゼール(1972-1982)は、よりダイナミックな表現を加えレコード契約の復活やソリストとの共演で楽団の人気を高めました。クリストフ・フォン・ドホナーニ(1984-2002)は、レパートリーの拡張やセヴェランス・ホールの改修に貢献し、ヴァイオリン対向配置を導入。

現在はフランツ・ウェルザー=メストが2002年から音楽監督を務め、現代作品の初演やオペラ公演への注力で、楽団のレパートリーを大胆に拡張しています。ベートーヴェンやブラームスといった古典から、ジョン・アダムズのような現代アメリカの作曲家まで、幅広いプログラムで観客を魅了。2018年にはニューヨーク・タイムズから「アメリカ最高のオーケストラ」と評されるなど、その評価は揺るぎません。

録音活動もクリーブランド管弦楽団の輝かしい一面です。1924年の初録音以来コロムビア、ソニー、デッカといった名門レーベルで数々の名盤を生み出し2020年には自主レーベル「The Cleveland Orchestra」を立ち上げデジタル時代にも積極的に対応しています。

1973年のガーシュウィン「ポーギーとベス」の録音は初の全曲録音としてアメリカオペラの金字塔となって歴史に刻まれました。1990年代には多くのメディアからアメリカを代表するオーケストラとして称賛されていてジョージ・セル時代のベートーヴェンやウェルザー=メストの現代作品の録音が特に高く評価されています。

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