英雄 当初はナポレオンに
ベートーベンの交響曲第3番は通称「エロイカ」(イタリア語で「英雄的」の意)と呼ばれクラシック音楽の歴史に大きな転機をもたらした。
この曲は当時の他の交響曲よりも長く規模も大きい。1805年の初演ではその長さと複雑さに慣れない聴衆から戸惑いの声が上がったほどだ。
ベートーベンは当初、この交響曲をフランス革命の理想の象徴として敬愛するナポレオン・ボナパルトに捧げた。
しかし、ナポレオンが皇帝宣言をすると彼は激怒して原稿の献辞を掻き消し、後に “エロイカ “と改名したと彼の秘書だった人物が伝えています。
月光 (合っているけれどベートーベン自身は言ってません)
また、ベートーベンの「月光ソナタ」(ピアノソナタ第14番嬰ハ短調)はベートーベンの三大ピアノソナタの一つとしても知られるメランコリックな第1楽章で知られる代表的なピアノ作品です。
彼本人はもっと抽象的に、幻想曲の様なソナタとタイトルを付けていた曲です。

なぜ月光と言うかというと、ベートーベンの死後に第1楽章をルツェルン湖を照らす月明かりに見立てた評論家の発言によって「月光ソナタ」と呼ばれるようになりました。
今ではこの曲は月光のイメージが定着していますが、以前には、葬送行進曲のようであるとか、ベートーベンの弟子でさえ幽霊のいる光景のようだとか色々な感想がありました。
酷い批評のようにも聞こえますがベートーベンがどういうつもりで曲を描いたのかは謎なのでもしかしたら合っていたり、外れていたり、全く別の情景がこの曲にはあるのかもしれません。
この曲は3つの楽章に分かれており、ゆったりとした第1楽章、簡潔で軽快な第2楽章、そして急速で激動のフィナーレがある。
第1楽章の憂鬱な雰囲気はベートーベンが弟子のオーストリアの伯爵夫人ジュリエッタ・ギッチャルディに捧げた片思いから着想を得たとされ、このソナタはその弟子に捧げられた。 また軽快な第二楽章はリストから「2つの深淵の間に咲く花」と評されている。
ベートーベンの革新性
ベートーベンはクラシック音楽で最も革新的な作曲家の一人として挙げられる。
彼の独創性にはいくつかの要因が挙げられる
古典派からロマン派への移行:ベートーベンのキャリアは音楽における古典派からロマン派への移行期にまたがる。ベートーベンは古典派時代の形式とバランス、をロマン派時代の感情的な激しさと個人主義へと押し上げた。
聴覚障害: 逆説的ではあるが、ベートーベンの難聴が彼の独創性を高めることになったかもしれない。聴力が衰えるにつれて、彼は作曲の響きやインパクトを想像することを余儀なくされ、それがリズム、和声、形式の革新的な使用につながったのかもしれないともいわれる。
個人的な表現: 多くの先達とは異なり、ベートーベンは音楽を個人的な表現の一形態とみなした。
これは特に晩年の作品に顕著で、彼は個人的な感情や経験を表現するために作曲の「ルール」を破り始めた。例えば彼の交響曲第9番には合唱が含まれているが、これは交響曲の形式ではそれまで用いられなかった特徴である。
音楽形式における革新: 交響曲やソナタの伝統的な構造を拡張ししばしば長く複雑なものにした。彼は新しいテーマやモチーフを導入してこれらの形式に新たなレベルの深みと発展をもたらした。