Jay-Z おそらく音楽史上で最高の大富豪

音楽

ブルックリン・マーシーからグラミーの頂点へ

2023年にビルボードが選んだ50 Greatest Rappers of All Time、これで一位になったラッパーがJay-Zである。

ショーン・カーターとして生まれたジェイ・Zはニューヨーク・ブルックリンの過酷と言われるマーシー住宅地区で育ち、その経験をもとにアメリカの都市生活の厳しい現実をリリック(歌詞)にした。そして数十年後、14枚もの最多のソロ歌手のアルバムセールス1位を獲得し、更には企業のCEOにもなる、2023年現在53歳の資産25億ドルの大富豪である。

ニューヨークブルックリンのJayZのいた地区

Jay-Zというニックネームは、彼の幼少時代のニックネーム「Jazzy」にインスパイアされたもので、初期のキャリアに大きく貢献した彼のメンターJaz-Oや、ブルックリンのマーシー・アヴェニューに停車する地下鉄のJ/Z線にもちなんでおり、彼のアイデンティティにおける故郷の重要性を表している。

1995年、ジェイ・Zはレコード契約の少なさに不満を抱き、デイモン・ダッシュ、カリーム・バークと共同でロック・ア・フェラ・レコードを設立し、デビュー・アルバム「Reasonable Doubt」をリリース。 そして今ほど有名でなかったカニエウェストをプロデューサー起用した2001年のアルバム「The Blueprint」は、9月11日の同時多発テロと同じ日にリリースされたが、それでもビルボード200で1位を獲得することになる。

ソロ活動に加えコラボレーションでも成功を収めており、特にリンキン・パークとのEP「Collision Course」や、長年コラボレーションをしてきたカニエ・ウェストとの大ヒットアルバム「Watch the Throne」は有名な作品だ。

Jay-Zとカニエウェストのwatch the throneより

彼はレコーディング前に歌詞を書き留めたことは一度もなく代わりに暗記に頼っている。またブロードウェイ・ミュージカル「アニー」をシングル「Hard Knock Life (Ghetto Anthem)」に使用するなど、独創的なサンプリングを多く駆使していることも特徴的だ。彼は絵にも知識がありジャン=ミシェル・バスキアやピカソなど、有名な芸術作品やアーティストを歌詞に引用することも多い。

「The Black Album」のリリース後、2003年に一時的にソロ活動を引退した。(といっても表舞台から消えたようには見えないくらい活動していた印象があるが) そして短期間の引退は彼のキャリアにおける劇的な瞬間を意味し、3年後に「Kingdom Come」で華々しくレコーディング業界に復帰した。

2008年にはR&B界の彼と並ぶ知名度を持つスーパースターであるビヨンセと結婚した。夫妻は音楽で頻繁にコラボレーションを行い現在でも音楽界とビジネス界の両方で影響力のある大物として活躍している。3年後にはジェイ・Zとビヨンセに第一子となるブルー・アイビー・カーターが誕生し誕生2日後にリリースされたトラック「Glory」に彼女の泣き声が収録されたことで、これはビルボードチャートに登場した最年少記録とも言われている。

2017年にリリースされたJay-Zの内省的なアルバム「4:44」では、ラッパーが自身の不倫や子育ての難しさといった個人的な問題を取り上げ以前の作品とは一線を画すレベルで、自らの弱さを披露した。そして2019年。ついに彼の初期のアルバム「The Blueprint」は米国議会図書館のナショナル・レコーディング・レジストリに登録された。

The Ruler’s Back

ビジネスマンとしてのJay-Z

こうした音楽活動とは別になんと2013年にはRoc Nation Sportsを設立して彼はスポーツマネジメントに乗り出した。長年アーティストを支援してきたのと同じようにアスリートを支援することを目指したのだ。と同時に自身のストリーミング・サービス「Tidal」も立ち上げ、スポティファイやアップル・ミュージックが席巻する競争の激しいレッドオーシャン市場にも参入した。

また個人タクシーや食事のケータリングサービスでアメリカだけでなく世界を席巻している企業、Uberへの投資だけでも7,000万ドルの価値があると言われており、彼のベンチャー企業への眼力を物語っているといえるだろう。

ということで、今や彼のビジネス活動は相当なものとなっている。不動産、アート、ハイテク・スタートアップに多額の投資を行っているため、彼は多角的な起業家、投資家となっているのだ。

文化的影響

自身のプラットフォームとリソースで社会問題に取り組んでおり、2016年にはバックパックを盗んだ疑いでライカーズ島に3年間収容された後に自殺したブロンクス出身の若者、カリーフ・ブラウダーについてのドキュメンタリー・シリーズを制作し、2020年にはジョージ・フロイドを追悼する全面広告を全米に掲載しBLM運動へのコミットメントを示した。

彼の文化的影響力と音楽への貢献の証として、ジェイ・Zは2017年にソングライターの殿堂入りを果たし、この名誉ある栄誉を受けた初のラッパーとなった。 ちなみにアリゾナ大学では「ジェイ・Zとアメリカ文化」といったコースなども開講されている。彼の音楽、ビジネス・ベンチャー、文化的影響が現代アメリカ社会を理解する上で貴重な学習材料にもなっているようだ。

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